2回目の大規模修繕は「修繕」だけでいい?マンション改修で考えたい賃貸入居者のニーズ
マンションを所有・管理されているオーナー様、管理者様にとって、大規模修繕工事は建物を長く維持していくための重要なイベントです。
特に築20~30年程度を迎え、2回目の大規模修繕工事を検討する時期になると、「外壁を塗り替える」「防水をやり直す」「鉄部を塗装する」といった、建物の劣化を直すだけの修繕では十分ではないケースが増えています。
なぜなら、新築時と現在では、入居者の暮らし方も、住宅に求める性能も、大きく変化しているからです。
スマートフォンやテレワークの普及、共働き世帯の増加、省エネ意識の高まり、防犯への関心、宅配サービスの定着など、賃貸住宅を取り巻く環境は大きく変わりました。
そこで2回目の大規模修繕では、
「壊れたから直す」から「今の入居者が住みたいと思う住宅へ更新する」
という考え方が重要になります。
1.新築時には当たり前だった設備が、今では「物足りない」ことも
築20年以上のマンションでは、新築当時には十分な住宅性能を備えていたとしても、現在の賃貸市場では「古い」「使いにくい」と感じられてしまうことがあります。
これは必ずしも建物そのものが悪くなったという意味ではありません。
住宅に求められる基準が変化したということです。
例えば、以前は宅配ボックスがなくても、それほど大きな問題ではありませんでした。
しかし現在では、ネット通販の利用が一般化し、
- 不在時でも荷物を受け取りたい
- 再配達を減らしたい
- 共用部での荷物の受け渡しを便利にしたい
と考える入居者が増えています。
また、インターネット環境についても同様です。
以前は「インターネット回線がある」というだけで十分だった物件でも、現在は在宅勤務、動画配信、オンライン授業など、より安定した通信環境が求められています。
つまり、建物の寿命と住宅設備の“市場寿命”は同じではありません。
2.2回目の大規模修繕は「マンションの価値を見直すタイミング」
1回目の大規模修繕では、外壁、防水、鉄部など、建物を健全な状態に戻すことが大きな目的になります。
一方、2回目になると、単純な原状回復だけではなく、
「これから10年、20年、このマンションを選んでもらうためには何が必要か」
という視点が重要になります。
例えば、
建物を守るための修繕
- 外壁塗装
- タイル補修
- 屋上防水
- バルコニー防水
- 鉄部の防錆・塗装
- シーリング更新
- クラック補修
などがあります。
これらは建物の維持に欠かせません。
しかし、それだけでは「住みたいマンション」になるとは限りません。
そこで、
住宅価値を高める改修
- エントランスのデザイン更新
- 宅配ボックスの設置
- 共用照明のLED化
- 防犯設備の更新
- インターネット環境の改善
- 駐輪場の整理・改修
- ゴミ置き場の改善
- 共用部の美観向上
- 省エネ性能の向上
- バリアフリー化
などを組み合わせます。
修繕と改修を一緒に考えることが、2回目の大規模修繕では非常に重要です。

3.今の賃貸入居者は「部屋だけ」を見ているわけではない
賃貸マンションの競争力を考える際、室内設備ばかりに目が向きがちです。
しかし、入居者が毎日利用するのは専有部分だけではありません。
マンションに帰ってきたとき、
「エントランスがきれい」
「廊下が明るい」
「ゴミ置き場が清潔」
「宅配ボックスがあって便利」
「防犯面が安心」
という印象も、物件への評価につながります。
反対に、室内をきれいにリフォームしていても、
- エントランスが古い
- 郵便受けが劣化している
- 共用廊下が暗い
- 駐輪場が乱雑
- ゴミ置き場が汚れている
- 外壁に汚れやひび割れが目立つ
という状態では、建物全体の印象が下がってしまいます。
特にインターネットで物件を探す現在では、入居希望者は複数の物件を比較します。
「このマンションを選ぶ理由」があるかどうか。
そこが非常に重要です。
4.「見た目をきれいにする」だけではない改修工事
改修工事というと、デザインを新しくすることをイメージされるかもしれません。
もちろん外観やエントランスの美観向上は大切です。
しかし、本当に重要なのは、
見た目+使いやすさ+安心+性能
を同時に考えることです。
例えばエントランスを改修する場合でも、単純に床や壁をきれいにするだけではなく、
- 照明を明るくする
- 防犯カメラを更新する
- オートロック設備を見直す
- 掲示板を整理する
- 郵便受けを更新する
- 手すりを設置する
- サイン表示を分かりやすくする
といった改善を組み合わせることができます。
これにより、単なる「化粧直し」ではなく、暮らしやすさを向上させる改修になります。






5.省エネ・快適性への対応もこれからの重要なテーマ
近年は、電気料金やエネルギーコストへの関心も高まっています。
マンションの改修では、省エネ性能についても検討する価値があります。
例えば、
- 共用部照明のLED化
- 高効率設備への更新
- 屋上・外壁の遮熱対策
- 窓・開口部の性能改善
- 空調設備の更新
- センサー付き照明の導入
などです。
特に夏の暑さが厳しくなっている現在では、建物への熱負荷を軽減する考え方も重要になっています。
屋上や外壁の改修では、単に防水・塗装をするだけではなく、遮熱などの機能性を持った材料を選択するという考え方もあります。
ただし、材料を選べば必ず大きな省エネ効果が得られるわけではありません。
建物の構造、方位、屋上の仕様、断熱状況、空調設備などを総合的に確認し、費用対効果を考えることが重要です。

6.「入居者ニーズ」と「建物の劣化」を一緒に調査する
2回目の大規模修繕では、建物診断だけでなく、入居者目線でのマンション診断もおすすめします。
例えば、次のような項目を確認します。
建物について
□ 外壁にひび割れや浮きがないか
□ タイルに浮きや剥落の危険がないか
□ 屋上・バルコニーの防水が劣化していないか
□ シーリングが硬化・破断していないか
□ 鉄部に錆が発生していないか
□ 雨漏りの履歴がないか
入居者目線について
□ エントランスが古く見えないか
□ 共用廊下が暗くないか
□ ゴミ置き場が使いやすいか
□ 駐輪場が整理されているか
□ 宅配ボックスは十分か
□ 防犯設備は現在の水準に合っているか
□ インターネット環境に問題がないか
□ 高齢者にも使いやすい環境か
□ 共用部の案内表示が分かりやすいか
この2つを合わせて考えることで、
「直すべき場所」と「今後の競争力を高める場所」
が見えてきます。
7.すべてを一度に新しくする必要はない
ここで注意したいのが、改修工事だからといって、すべてを最新設備に交換する必要はないということです。
マンションには予算があります。
長期修繕計画とのバランスもあります。
重要なのは、限られた予算をどこに配分するかです。
例えば、
「外壁は現状の仕様で適切に修繕する」
一方で、
「エントランスはデザイン性を高める」
「照明はLED化する」
「宅配ボックスを増設する」
「防犯設備を更新する」
といったように、費用対効果を考えながら優先順位を付けることが大切です。
8.大規模修繕の「ついで工事」から「戦略的改修」へ
これまでの大規模修繕では、
「足場を組むから、この工事も一緒にやっておこう」
という考え方がよくありました。
もちろん、足場を必要とする工事をまとめることは、施工効率や費用面でメリットがあります。
しかし、2回目の大規模修繕では、さらに一歩進んで、
「今後のマンション経営に必要な改修を、このタイミングで計画する」
という発想が必要です。
大規模修繕の時期だからこそ検討できる工事と、後から単独で行ったほうがよい工事があります。
その違いを整理し、優先順位を決めることが重要です。
9.2回目の大規模修繕は「次の10年」を考える工事
マンションは、修繕した瞬間がゴールではありません。
むしろ工事完了後から、新しい維持管理が始まります。
だからこそ、
「今回どこを直すか」だけではなく、「次の10年をどう使ってもらうか」
という視点を持つことが重要です。
例えば、
築年数が経過したマンションでも、
外観がきれいで、
エントランスが明るく、
共用部が清潔で、
防犯面にも配慮され、
宅配設備が整い、
省エネにも対応している。
こうしたマンションであれば、築年数だけで判断されにくくなります。

10.これからのマンション改修は「資産価値」と「入居者満足」を両立する
マンションオーナー様にとって、改修工事は大きな投資です。
だからこそ、
「壊れたところを直すだけ」
ではなく、
「今後も選ばれるマンションにするための投資」
として考えることが大切です。
新築から20年、30年と時間が経てば、入居者の生活様式も変わります。
住宅に求められる性能も変わります。
そして、周辺に新しいマンションが建てば、比較される相手も変わります。
2回目の大規模修繕は、マンションを新築時の状態に戻すだけではありません。
現在の暮らしに合わせて、マンションを“アップデート”する機会でもあります。
外壁や防水などの基本的な修繕を確実に行いながら、入居者が「ここなら長く住みたい」と思える環境を整える。
それが、これからのマンション改修工事に求められる考え方ではないでしょうか。
まとめ|2回目の大規模修繕を「マンション再設計」の機会に
2回目の大規模修繕を迎えるマンションでは、
「劣化しているから修繕する」
という従来の考え方だけでなく、
「現在の入居者に選ばれるためには、何を改善すべきか」
という視点が重要です。
特に検討したいのは、
- 建物の耐久性を維持する修繕
- 防水・雨漏り対策
- 外観・共用部の美観向上
- 防犯性の向上
- 省エネ・快適性の向上
- 宅配・通信環境など利便性の改善
- 高齢者にも配慮したバリアフリー化
- ゴミ置き場・駐輪場など生活動線の改善
- エントランスなどマンションの第一印象の更新
です。
すべてを一度に行う必要はありません。
建物の状態、入居者層、地域の賃貸市場、競合物件、予算、長期修繕計画などを総合的に確認し、優先順位を決めていくことが大切です。
2回目の大規模修繕は、過去の状態に戻すためだけの工事ではありません。
新築時から変化した生活様式や社会環境に合わせて、マンションを現在の住宅水準へアップデートし、これから先も選ばれる資産へ育てていく。
そのための「修繕+改修」として計画することが、これからのマンション経営において重要になっていくでしょう。
2回目の大規模修繕、「修繕だけ」で終わらせていませんか?
築20年、30年を迎えるマンションでは、外壁や防水などの劣化対策だけでなく、現在の入居者が求める「暮らしやすさ」「安心」「快適性」「デザイン性」まで考えた改修が重要になっています。
しかし、
「どこまで改修すればいいのか分からない」
「修繕と改修の優先順位を整理したい」
「長期修繕計画と今回の工事をどう組み合わせればいいのか分からない」
というオーナー様・管理者様も少なくありません。
私たちは、建物の現在の状態を確認し、**「今すぐ必要な修繕」と「これからのマンション価値を高める改修」**を分けて考えることをおすすめしています。
大規模修繕の時期だからこそできること、後からでもできることを整理し、予算や長期的な維持管理も考慮しながら、マンションに合った改修計画をご提案します。
2回目の大規模修繕を「建物を直すだけの工事」から「これからも選ばれるマンションへ更新する機会」へ。
まずは現在の建物の状態と、今後必要となる修繕・改修についてご相談ください。
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