外壁にうっすらと茶色いスジが…。それ、「錆汁」かもしれません。原因とリスク、そしてプロによる補修方法

外壁に現れるうっすらとした茶色いスジ。

雨の跡のようにも見えますが、雑巾で拭いても落ちない——そんな場合は「錆汁(さびじる)」が発生している可能性があります。
錆汁は、外壁の内部で金属部材が腐食し、その錆が雨水などとともに表面へ染み出してきた状態を指します。

見た目の問題にとどまらず、建物内部の劣化が進行しているサインでもあり、早期発見・早期対応がとても重要です。

この記事では、錆汁の原因と放置した場合のリスク、そして専門業者による補修・再発防止の方法について解説します。

 

 

 

 

 

錆汁とは?発生の仕組み

錆汁は、金属部材が酸化して生じる錆が、水分に溶け出して外壁表面に染み出す現象です。
鉄分を含んだ水が外壁をつたい、乾いたあとに茶色い筋やシミとなって残ります。

発生源となる金属部材は、主に次のようなものです。

  • 鉄筋コンクリート内部の鉄筋
  • 外壁下地や庇(ひさし)に使用される鉄骨部材
  • 手すりや笠木の金物固定部
  • サッシ周りのアンカー金具やビス

これらの金属が雨水や湿気によって酸化(錆化)し、その錆がコンクリートやモルタルを通してにじみ出すことで、

外壁表面に錆汁として現れます。

 

 

錆汁が発生する主な原因

錆汁の原因は、単に「金属が錆びた」だけではありません。
そこには水分の侵入経路防錆・防水施工の劣化といった複合的な要因が関わっています。

 

ひび割れ(クラック)からの雨水侵入

モルタルやコンクリートの微細なひび割れは、雨水の浸入経路となります。
特にヘアークラックと呼ばれる細い亀裂でも、長年の経過で鉄筋部まで水が達し、錆びを発生させます。

 

シーリングの劣化

サッシ周りや外壁目地のシーリング材が経年劣化し、剥離・亀裂が生じると、そこからも水が侵入します。
内部のアンカー金具などが錆び、錆汁として外に流れ出すケースは非常に多いです。

 

金属部材の未防錆処理・塗膜の剥がれ

建築時に防錆塗装が十分でなかったり、経年で塗膜が剥離していると、鉄部が直接湿気や雨水に触れて錆が発生します。

 

結露や内部漏水

屋内側での結露や配管からの漏水などが、壁体内部を湿らせ、結果的に錆汁が外壁側に現れることもあります。

 

 

放置するとどうなる?錆汁が示す“見えない劣化”

錆汁は「外壁の汚れ」として軽視されがちですが、構造上の劣化が進んでいる可能性を示す警告サインです。

1.鉄筋コンクリートの中性化・鉄筋腐食の進行

コンクリート内部の鉄筋が錆びると、鉄は体積が約24倍に膨張します。
この膨張圧によってコンクリートが内部から押し割られ、剥離・爆裂が発生。

最終的には躯体の耐久性が著しく低下します。

 

2.外壁タイルの浮き・剥落

タイル貼り仕上げの建物では、下地のモルタルが錆の膨張圧によって浮き上がり、タイルの剥落事故につながるケースも。
居住者や通行人への落下リスクを伴うため、管理責任の観点からも無視できません。

 

3.漏水・雨漏りの原因に

錆汁が出るということは、すでに水分が内部へ侵入している状態です。
放置すれば、室内への雨漏りや内装仕上げ材の汚損へと発展します。

 

プロが行う調査と補修の流れ

錆汁が確認された場合、まずは原因を正確に特定することが重要です。
見た目だけを洗浄しても、内部の錆が残っていればすぐに再発します。

 

現地調査

専門業者は、目視・打診・含水率測定などを行い、錆汁の発生位置や範囲を確認します。
必要に応じて赤外線サーモグラフィーや中性化試験を行い、内部の腐食状況を把握します。

 

下地補修

原因箇所を特定したら、錆が発生している下地を部分的に斫(はつ)り、鉄筋や金物を露出させます。
そのうえで次の工程に進みます。

 

錆の除去・防錆処理

ワイヤーブラシやサンドブラストなどで錆をしっかり除去し、防錆材を塗布します。
使用される防錆材はエポキシ樹脂系や無機ジンク系など、環境条件と下地の種類に合わせて選定されます。

 

断面修復

モルタルやポリマーセメント系材料で断面を復旧し、周囲との平滑性を整えます。
コンクリートの中性化防止のために、仕上げには防水性・透湿性のある下地材を使用することが一般的です。

 

表面仕上げ・再塗装

最後に、既存仕上げに合わせた塗装やタイル補修を行い、外観を整えます。
塗装仕上げの場合は、防水機能付きの高耐久塗料を選ぶことで再発を抑制できます。

 

 

錆汁の再発を防ぐためのポイント

 

 1.定期点検を実施する

 外壁の劣化は年単位で進行します。

 5年ごとの簡易点検、1012年ごとの大規模修繕を目安に計画的に実施しましょう。

 

 2.シーリングや塗膜の寿命管理を行う

 シーリング材の耐用年数は10年前後。

 劣化が始まる前に打ち替えを行うことで、水の侵入を防げます。

 

 3.雨仕舞(あまじまい)の見直し

 庇や笠木、配管まわりなど、水が溜まりやすい部分の構造を改善し、再発リスクを低減します。

 

4.防錆塗装や防水トップコートを採用する

 金属部には定期的な防錆塗装を、コンクリート部には防水トップコートを施すことで、

 内部への水分侵入を防ぎます。

 

まとめ:錆汁は「見えない劣化」のサイン。早めの調査が鉄則

外壁に茶色いスジが現れたら、それは「錆汁」という建物のSOSかもしれません。
見た目の問題だけでなく、内部では鉄筋の腐食やコンクリートの劣化が進んでいる可能性があります。

放置すれば、構造体の損傷、タイル剥落、雨漏りといった二次被害を引き起こすため、専門業者による早期点検と補修が欠かせません。

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