シール工事の「増し打ち」と「打ち替え」の違いとは?
外壁塗装や防水工事を行う際に欠かせない工程の一つが「シーリング(シール)工事」です。
建物の外壁の目地やサッシのまわりに充填されている弾力性のあるゴムのような部分を「シール材(シーリング材)」と呼びますが、この部分は建物の防水・防塵・気密性を保つために非常に重要な役割を果たしています。
(呼び方として他にも「コーキング」と言ったりもします)

しかし、シール材は紫外線や雨風、気温差などの影響を受けて、年数が経つにつれて必ず劣化していきます。
そのため、一定の周期でメンテナンスを行う必要があります。
今回は、そんなシーリング工事の中でもよく耳にする「シールの増し打ち」と「シールの打ち替え」について、それぞれの意味・違い・施工方法・メリット・デメリットを詳しく解説いたします。
■ シール(シーリング)とは?役割と重要性
まずは、シーリングの役割について簡単におさらいしておきましょう。
シーリング材は、建物の外壁材の隙間やサッシの取り合い部分など、建物の“継ぎ目”に充填されています。
主な役割は以下の3つです。
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防水性の確保
雨水が外壁の隙間から侵入するのを防ぎ、内部の構造体を守ります。 -
気密性の確保
外気やほこりの侵入を防ぐことで、室内環境を快適に保ちます。 -
可動部の緩衝
建物は気温や湿度によって伸縮します。シール材がその動きを吸収することで、外壁材やサッシのひび割れを防ぐ役割を果たします。
このように、シーリングは建物の“防水と耐久性を守るための要”とも言える存在です。

■ シーリングの劣化サインとは?
シール材は、施工後およそ 5〜10年 を目安に劣化が始まります。
次のような症状が見られたら、メンテナンスのタイミングです。
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シール材の ひび割れ

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シール材が 硬化・収縮 して弾力がなくなる
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剥離(はくり):外壁材からシールが浮いて隙間ができている

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変色や汚れの付着 が目立つ
こうした劣化を放置してしまうと、外壁の内部に雨水が入り込み、下地材や鉄部の腐食・断熱材の劣化・雨漏りの原因となることがあります。
■ 「増し打ち」と「打ち替え」工事とは?
シーリングのメンテナンス方法には主に 「増し打ち」 と 「打ち替え」 の2種類があります。
名前が似ているため混同されがちですが、実際には施工内容も効果も大きく異なります。
● シールの「増し打ち」とは?
「増し打ち」とは、既存のシール材を撤去せずに、その上から新しいシール材を充填する工法です。
【施工の流れ】
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既存のシールの表面を清掃
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必要に応じて下地処理(プライマー塗布)
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新しいシール材を上から重ねて打ち込む
【メリット】
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工期が短く、費用を抑えられる
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既存のシールがある程度健全な場合、十分な防水性能が得られる
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サッシまわりなど、既存シールを完全に撤去できない箇所にも適用可能
【デメリット】
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既存シールが劣化しすぎている場合は、密着不良や早期劣化のリスクがある
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シール厚みが確保しづらく、耐久性は「打ち替え」に比べて劣る
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根本的な補修にはならない場合もある
【適用箇所】
主に サッシまわり・アルミや樹脂枠の取り合い部分 に用いられます。
これらの部分は古いシールを完全に除去できないことが多いため、増し打ちが最適です。

● シールの「打ち替え」とは?
「打ち替え」とは、既存のシール材をすべて撤去し、新しいシール材に入れ替える工法です。
【施工の流れ】
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劣化した既存シールをカッターなどで丁寧に撤去
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目地の清掃・養生
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プライマー(接着剤)を塗布
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新しいシール材を充填
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ヘラで表面を整えて仕上げ
【メリット】
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目地の内部までしっかり補修できるため、最も確実な防水性能を回復
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新しいシール材の耐久年数を最大限に発揮できる
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外壁塗装と同時に行うことで、建物全体の防水性・美観を一新できる
【デメリット】
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既存シール撤去に手間がかかるため、工期と費用が増える
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外壁材によっては撤去時に破損リスクがあるため、職人の高い技術が必要
【適用箇所】
主に 外壁目地(ボード間の継ぎ目)や打ち継ぎ目地 に行います。
これらはシールの厚みがしっかり確保できるため、打ち替えが最も効果的です。

■ 「増し打ち」と「打ち替え」の違いを比較
| 比較項目 | 増し打ち | 打ち替え |
|---|---|---|
| 施工方法 | 既存シールの上に重ねて施工 | 既存シールを撤去して新たに施工 |
| 耐久性 | 中程度(5〜7年) | 高い(10〜15年) |
| 費用 | 安い | 高い |
| 工期 | 短い | 長い |
| 適用箇所 | サッシまわりなど撤去困難部 | 外壁目地など撤去可能部 |
| メリット | コストを抑えられる | 根本的に防水性能を回復できる |
| デメリット | 早期劣化のリスク | 費用と手間がかかる |
このように、「増し打ち」と「打ち替え」は目的と施工方法が異なります。
建物の劣化状況や部位によって、適切な工法を選ぶことが大切です。
■ 工法の選び方と注意点
「増し打ち」と「打ち替え」のどちらを選ぶべきかは、以下の点を基準に判断します。
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既存シールの劣化状態
→ 深いひび割れや剥離がある場合は「打ち替え」が必須。
→ 軽度の汚れ・変色程度なら「増し打ち」でも可。 -
施工部位
→ サッシまわりは増し打ち、外壁のボード間は打ち替え、が一般的。 -
予算・将来計画
→ 一時的な補修目的なら増し打ち、長期的なメンテナンスなら打ち替え。 -
建物の築年数と外壁材の種類
→ 窯業系サイディングなどは、築10年以上であれば打ち替えを推奨。
■ 外壁塗装と同時に行うメリット
シーリング工事は、外壁塗装と同時に行うのが最も効率的です。
理由は以下の通りです。
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足場を共用できるため、費用を抑えられる
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塗膜とシール材の密着性を最適化でき、防水性能が長持ちする
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仕上がりの美観が整い、建物が新築同様にリフレッシュされる
塗株式会社植田では、外壁塗装前にシーリングの状態を必ずチェックし、
「どの部分を打ち替え、どの部分を増し打ちにするか」を丁寧にご提案いたします。

■ 使用するシーリング材について
シーリング材にもさまざまな種類がありますが、代表的なのは以下の3種類です。
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変成シリコン系:塗装との相性が良く、外壁塗装前の施工に最適
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ポリウレタン系:密着性が高く、耐久性も優秀
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シリコン系:耐候性が高いが、塗装不可のため非塗装部分に使用
当社では、施工箇所や塗料との相性を考慮し、最も適したシール材を選定しています。
■ まとめ|最適なメンテナンスで建物を長持ちさせる
「増し打ち」と「打ち替え」は、いずれも建物を雨水や紫外線から守るために欠かせない重要な工事です。
ただし、外壁の状態や劣化度合いによって最適な工法は異なります。
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軽度の劣化 → 増し打ち
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劣化が進行している → 打ち替え
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外壁塗装を行う場合 → 打ち替えが基本
シール工事は見た目では劣化が分かりづらく、放置してしまうケースも多いですが、
少しのひび割れから雨水が侵入し、内部が腐食してしまうと修繕費用は一気に膨らみます。
株式会社植田では、経験豊富な職人が建物の状態を正確に診断し、
お客様のご予算・ご希望に合わせた最適なプランをご提案いたします。
外壁塗装・屋根塗装・防水工事をご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。
確かな技術と丁寧な施工で、皆様の大切な住まいを長く美しく守ります!!











