工場の屋上防水メンテナンスについて
工場の屋上防水は、建物の寿命を延ばし、雨漏りや構造の劣化を防ぐ重要な役割を果たします。
しかし、時間の経過とともに防水層は劣化し、定期的な点検とメンテナンスが必要になります。
今回は、先日のブログでもご紹介した代表的な防水工法である
「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」「FRP防水」の特徴と
それぞれの劣化チェックポイントについてご紹介いたします。
【ウレタン防水】
特徴
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布して防水膜を形成する工法です。
継ぎ目のない仕上がりとなり、複雑な形状の屋上にも適用しやすいのが特長です。
劣化のチェックポイント
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表面のひび割れ:経年劣化により防水層が硬化し、ひび割れが発生することがあります。
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塗膜の膨れ・剥がれ:下地との密着が弱まると、防水層が浮き上がることがあります。
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色褪せ・チョーキング現象:表面が白っぽく粉を吹いたようになると、紫外線による劣化が進行しているサインです。
【シート防水(塩ビシート・ゴムシート)】
特徴
シート防水は、塩化ビニル(塩ビ)やゴム製のシートを屋上に敷き込み、接着剤や固定金具で固定する工法です。
耐候性に優れ、施工が比較的スピーディーなのが特徴です。
劣化のチェックポイント
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シートの破れ・裂け目:シートの伸縮により亀裂が生じることがあります。
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接合部の剥がれ:シート同士の継ぎ目が浮いたり剥がれたりしていると、防水性能が低下します。
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浮き・膨れ:シート内部に水分や空気が入り、膨れが発生することがあります。
【アスファルト防水】
特徴
アスファルト防水は、アスファルトを染み込ませたシート(ルーフィング)を重ね貼りして施工する工法です。
耐久性が高く、長期間の防水効果が期待できます。
劣化のチェックポイント
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表面のひび割れ・剥離:紫外線や気温変化により、アスファルト層が硬化し、ひび割れが発生します。
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防水層の浮き・膨れ:下地との密着が悪くなると、浮きが発生し、防水効果が低下します。
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排水不良:排水溝やドレン周辺に水が溜まっている場合、防水層の劣化が進行しやすくなります。
【FRP防水】
特徴
FRP(繊維強化プラスチック)防水は、ガラス繊維を含んだ樹脂を塗布して硬化させる工法です。
耐久性が高く、強靭な防水層を形成できます。
劣化のチェックポイント
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表面のひび割れ:FRPの硬化によりひび割れが発生することがあります。
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変色・艶の低下:紫外線の影響で表面のコーティングが劣化し、色褪せや艶がなくなっている場合があります。
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浮きや剥がれ:下地との密着が弱まると、剥がれが生じることがあります。
防水層のメンテナンス方法
1. 定期点検の実施
防水層の劣化は、早期に発見し対策を取ることで大きな修繕を防ぐことができます。
年に1〜2回の点検を行い、異常がないか確認しましょう。
特に、梅雨や台風シーズン前後には重点的なチェックを行うことが望ましいです。
2. 部分補修
小さなひび割れや剥がれがある場合は、専用の補修材を使ってピンポイントで修復します。
ウレタン防水では上塗り材を追加塗布、シート防水ではパッチ補修を施すことで、さらなる劣化を防ぐことが可能です。
3. 防水層の再施工
劣化が進行している場合は、**既存の防水層の上に新しい防水層を重ねる「カバー工法」**や、古い防水層を撤去して新しい防水層を施工する方法を選びます。
カバー工法は工期を短縮できるうえ、コストも抑えられるため、比較的手軽に防水機能を回復できます。
4. 排水設備の維持管理
防水層だけでなく、排水設備の管理も大切です。
ドレンや排水口が詰まると水がたまり、防水層の劣化を早める原因になります。定期的に落ち葉やゴミを取り除き、水はけをよくしておきましょう。
5. 保護塗装の施工
紫外線や外部環境から防水層を守るために、トップコート(保護塗装)を定期的に塗布するのが効果的です。
特にウレタン防水やFRP防水では、トップコートが劣化すると防水層も傷みやすくなるため、5年ごとの塗り直しが推奨されます。
まとめ
工場の屋上防水は、建物の長寿命化に欠かせない重要な要素です。
「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」「FRP防水」それぞれの特徴を理解し、劣化のサインを見逃さないようにしましょう。
定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、防水性能を長持ちさせることができます。
特に、早期発見と適切な処置がコスト削減にもつながるため、計画的なメンテナンスを心がけましょう。