マンションの大規模修繕 塗装・防水・シール工事における成功させるポイント
マンションの大規模修繕や改修工事は、住人の生活に直結する大切なイベントです。
特に塗装工事、防水工事、シール工事は建物の寿命や快適性に大きく関わるため、正しい知識を持って工事に臨むことが重
要です。
本記事では、改修工事の際に押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。
なぜマンション改修工事が必要なのか?
マンションは年月が経過するとともに、外壁や屋上、共用部分に劣化が進行します。
特に日本は四季があり、夏は高温多湿、冬は寒さや乾燥といった環境の変化が激しいため、建物に大きな負担を与えます。
改修工事を怠ると、以下のようなリスクが発生します。
- 外壁のひび割れから雨水が侵入し、躯体の劣化を招く
- 防水層の劣化による雨漏り
- シーリングの隙間からの漏水や断熱性能の低下
- 美観の低下による資産価値の減少
⇒したがって、定期的な改修工事はマンションの「資産価値を守るための投資」と言えます。
塗装工事で気を付けるべきポイント
1. 塗料の種類と耐久性
塗装工事では、塗料の選択が非常に重要です。
アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機など、塗料にはさまざまな種類があり、耐久年数や価格も異なります。
一般的に、フッ素塗料は高額ですが耐久性に優れており、
長期的に見ればメンテナンスコストを抑えられる場合があります。
アクリル塗料:価格が安く発色も良いですが、耐久性は低く3〜5年程度と短命です。現在ではほとんど採用されません。
ウレタン塗料:弾性があり、密着性に優れています。価格も比較的安価ですが、耐久年数は5〜7年程度で、外壁全体よりも付帯部(鉄部や木部など)に使用されることが多いです。
シリコン塗料:コストと耐久性のバランスが良く、もっとも一般的に採用されています。耐久年数は8〜12年程度で、コストパフォーマンスに優れています。
ラジカル制御型塗料:近年普及している新しいタイプで、紫外線による塗膜劣化を抑える成分を配合しています。シリコンよりやや高価ですが、耐久性は10〜15年程度と長めです。
フッ素塗料:非常に耐久性が高く、15〜20年以上持つこともあります。高額ですが、長期的に見れば再塗装の回数を減らせるため、結果的にコスト削減につながる場合もあります。高層マンションや海沿いの建物など、過酷な環境下で特に有効です。
無機塗料:セラミック成分などを含み、耐候性・耐久性に非常に優れています。20年以上の耐用年数を期待できる場合もありますが、価格が高いのがデメリットです。
選定の際は「初期費用」だけでなく「トータルコスト」と「建物の条件」を考慮することが大切です。
例えば、長く住み続ける予定があるマンションでは、
“多少高価でも耐久性の高い塗料を選んだ方が将来的にお得”になることがあります。
2. 下地処理の重要性
いくら高品質な塗料を使っても、下地処理が不十分であればすぐに剥がれてしまいます。高圧洗浄やひび割れ補修、錆止め処理など、下地の整備を丁寧に行うことが仕上がりに直結します。
3. 施工管理と品質チェック
施工中は、適切な塗布回数や乾燥時間が守られているかどうかを確認することが大切です。監理者や管理組合が主体的に関わることで、手抜き工事を防ぐことができます。
防水工事で気を付けるべきポイント
1. 防水工法の選択
防水工事には「シート防水」「ウレタン防水」「FRP防水」などいくつかの方法があります。屋上やバルコニーの使用状況、既存の防水層の状態によって適した工法が異なるため、専門家とよく相談する必要があります。
2. 雨漏りの原因調査
防水工事を行う前に、雨漏りの原因を正確に突き止めることが重要です。表面的な補修では根本的な解決にならない場合が多いため、赤外線カメラなどを使った調査が有効です。
3. メンテナンス計画
防水工事は一度施工すれば終わりではありません。数年ごとに点検を行い、劣化の兆候を早めに発見して部分補修を行うことで、長持ちさせることが可能です。
シール工事で気を付けるべきポイント
1. シーリング材の選定
シール工事は、外壁の目地やサッシ周りの隙間を埋める重要な工事です。シーリング材にも耐久性の違いがあり、一般的には変成シリコンやウレタン系が使用されます。紫外線や雨水にさらされる部分は、耐候性の高いシーリング材を選ぶ必要があります。
2. 打ち替えと打ち増しの違い
シール工事には「打ち替え」と「打ち増し」があります。古いシール材を撤去して新しいものに替えるのが打ち替え、一部補填するのが打ち増しです。劣化が進んでいる場合は打ち替えが推奨されます。
3. 施工環境と養生
シーリングは気温や湿度に影響を受けやすいため、施工条件を守ることが大切です。また、仕上がりの美しさや耐久性を左右するため、養生をしっかり行うことも重要です。
工事を成功させるための進め方
1. 信頼できる業者の選定
複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく工事内容や保証体制を比較しましょう。過去の実績や施工後のアフターフォロー体制もチェックすべきポイントです。
2. 管理組合と住民の合意形成
マンションの改修工事は住民全員に関わるため、工事内容やスケジュールを共有し、理解を得ることが必要です。説明会やアンケートを実施して、トラブルを未然に防ぎましょう。
3. 工事中の生活への配慮
足場の設置や騒音、臭いなど、工事中は住民に負担がかかります。掲示板やチラシで事前に周知したり、苦情対応の窓口を設けたりすることで、スムーズに進められます。
まとめ
マンション改修工事における塗装工事、防水工事、シール工事は、それぞれが建物の寿命や住み心地に直結する重要な工事です。ポイントを押さえて計画的に進めることで、建物の資産価値を守り、快適な住環境を維持できます。
「正しい知識を持つこと」「信頼できる業者を選ぶこと」「住民との協力体制を築くこと」が、工事成功のカギとなります。