見積書によく使われる専門用語を解説!!
工場や倉庫の外壁塗装・屋根工事・防水工事を検討して見積書を見てみると、
「仮設足場」「ケレン作業」「ウレタン塗膜防水」など、聞きなれない専門用語が並んでいて戸惑ったことはありませんか?
見積書の内容をしっかり理解することは、不要な工事を防ぎ、適正価格で安心して工事を任せるためにとても重要です。
今回は、外壁工事・屋根工事・防水工事の見積書に頻出する用語をわかりやすく解説します。
これから工事を検討している方、見積もりの内容が不安な方は、ぜひ参考にしてください。
【外壁工事編】
工場の外壁塗装・改修工事でよく使用される専門用語の一覧です。
用語 | 説明 |
---|---|
仮設足場 | 高所作業に不可欠な足場の設置費用。安全確保と法令遵守のため必須。作業範囲や建物の高さにより大きく変動。 |
飛散防止ネット(メッシュシート) | 塗料や洗浄水が周囲に飛ばないようにするネット。周囲の工場・設備への配慮として重要。 |
養生費 | 扉・窓・機械設備などをビニールやシートで覆って塗料の飛散を防ぐ保護作業費用。 |
高圧洗浄 | 外壁表面の汚れや旧塗膜、カビ・藻類などを高圧水で除去する工程。塗膜の密着力を高めるために重要。 |
ケレン作業 | 金属面のサビ落としや劣化塗膜の除去作業。1種~4種ケレンに分類される(1種が最も重度)。 |
下地補修費 | クラック(ひび割れ)や欠損部の補修、浮きの注入処理などを含む。塗装前に実施しないと再劣化しやすい。 |
下塗り(プライマー) | 外壁と上塗り塗料の密着をよくするための塗料。素材(コンクリート・金属・ALCなど)によって種類が異なる。 |
中塗り・上塗り | 実際に色と防水・防汚機能を付加する塗装工程。耐候性に大きく関係する重要工程。 |
遮熱塗料・断熱塗料 | 夏場の室内温度上昇を抑える塗料。工場の温熱環境対策として採用が増えている。 |
材料搬入費 | 塗料・養生材・洗浄機材などの資材を現場へ運び入れる費用。規模の大きい工場ではフォークリフト使用の場合も。 |
外壁シーリング工事 | パネルの継ぎ目や目地の充填材(シーリング)の打ち替え費用。漏水防止や伸縮に対する柔軟性を保つため必須。 |
部分補修費 | 塗装だけで済まない下地の張り替えやサイディングの再固定、モルタル浮き補修などの対応費用。 |
仮設トイレ・電源設置費 | 長期現場で必要になることがある仮設トイレや電源の設置にかかる費用。 |
諸経費 | 工事管理費・現場監督人件費・安全対策・申請書類作成などの総合費用。見積書上は「諸経費」または「共通仮設費」として一括表示される。 |
✅ 見積書で注意すべきポイント(外壁塗装工事)
1.塗装の対象範囲が明記されているか
外壁の面積(㎡数)、付帯部(雨樋・破風・軒天など)の記載があるか。
「外壁一式」などの曖昧な表記に注意。
2. 塗装回数と工程が記載されているか
下塗り・中塗り・上塗りの3工程が基本。
「○回塗り」など、工程省略がないかチェック。
3. 使用塗料の種類・メーカー・品番が具体的か
例:ラジカル制御型、フッ素系、シリコン系など。
耐候性・耐用年数の根拠となる塗料名があるか。
4. 下地補修の内容が含まれているか
クラック補修、爆裂補修、シーリング打ち替えなどの記載があるか。
劣化部の処置が別途になっていないか確認。
5. 足場代・高圧洗浄費が含まれているか
塗装前に必要な工程で、別途請求されることもあるため注意。
「足場一式」「高圧洗浄一式」ではなく、面積や内容も見たい。
6. 養生・清掃費が明記されているか
窓・植栽・床などを保護するための費用が含まれているか。
工事後の清掃や仕上げ処理も含めて確認。
7. 保証内容・保証期間が記載されているか
材料・施工のそれぞれに対して保証があるか。
保証対象範囲と期間の明記があること。
8. 諸経費や管理費の記載が適正か
工事費の5~10%前後が目安。高すぎ・安すぎに注意。
「一式」ではなく内訳や根拠があると安心。
【屋根工事編】
工場の屋根塗装・改修工事でよく使用される専門用語の一覧です。
用語 | 説明 |
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仮設足場 | 高所作業のための足場設置費用。安全対策・法令遵守のため必須。 |
養生費 | 工事中の機械・通路・製品を保護するための措置費用。 |
高所作業費 | 高所・急勾配屋根での施工に伴う追加人件費。 |
撤去工事費 | 既存屋根材や下地材を撤去する費用。葺き替えの場合に発生。 |
廃材処分費 | 撤去した屋根材・下地材などの産業廃棄物処理費。 |
下地調整費 | 屋根材を張る前の面調整、錆の除去、凹凸処理などの費用。 |
ルーフデッキ工事 | 折板屋根の新設・補強用の鉄骨工事を含む場合に使われます。 |
熱交換塗料 | 遮熱・断熱効果のある塗料の使用費。工場内の温度上昇対策として重要。 |
材料搬入費 | 屋根材・板金・塗料などの現場への搬入費用。大型工場の場合はクレーン搬入となるケースも。 |
諸経費 | 現場管理費、交通費、申請費用などの総合経費。一般に工事費の5~15%で計上。 |
✅ 見積書で注意すべきポイント(屋根工事)
1. 工法の種類が具体的に記載されているか
「葺き替え工事」なのか「カバー工法」なのか明確になっているか。
施工内容に応じた適切な記載があるか。
2. 屋根材の種類・メーカー・品番が記載されているか
例:スーパーガルテクト、横暖ルーフ、アスファルトシングルなど。
耐久性・断熱性の違いに影響するため、必ず確認。
3. 塗装工事の場合、塗装工程と塗料が明記されているか
「下塗り1回・中塗り1回・上塗り1回」のような工程記載があるか。
使用塗料のメーカー名・商品名(遮熱塗料や高耐候性塗料など)。
4. 高所作業費や勾配屋根追加費が含まれているか
急勾配や3階建て以上の場合、追加人件費がかかることが多い。
「高所作業費」の名目があるか確認。
5. 撤去・廃材処分費が明記されているか(葺き替え工事の場合)
既存屋根材・下地材の撤去と廃材処分が見積に含まれているか。
6. 下地調整・補修の内容が明記されているか
例:野地板の増し張り、防腐処理、腐食部補修など。
見落とされると追加費用発生の原因になる。
7. シーリングや板金処理の範囲が明確か
棟板金、谷板金、雨押えなどの交換・補修が必要か。
雨仕舞い(雨水の排水処理)の観点で重要。
8. 断熱・遮熱材の使用有無が記載されているか
工場・倉庫では特に重要。断熱材の種類・厚みの記載もチェック。
9. 仮設足場・養生・材料搬入費が明記されているか
工事規模に応じて必要な仮設工事が含まれているか確認。
10. 諸経費の割合・内訳が妥当か
一般的に工事費の5〜15%程度が目安。
現場管理費、交通費、安全対策費などの記載があるか。
【防水工事編】
工場の防水工事でよく使用される専門用語の一覧です。
用語 | 説明 |
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仮設足場 | 屋上や外壁での高所作業を安全に行うための足場設置費。防水工事でも足場が必要なケースが多い。 |
養生費 | 通路・機械・ドレン口などをシートなどで覆って、工事中の汚れ・損傷を防ぐ措置。 |
高圧洗浄 | 施工面に付着した汚れ・コケ・旧防水層などを洗浄する工程。密着性を高めるために不可欠。 |
ケレン作業 | 下地の汚れ、旧塗膜、錆などを手工具や機械で除去する作業。密着不良を防止するために重要。 |
下地処理費 | ひび割れや欠損、段差を補修するための工程。防水層の耐久性に直結する。モルタル充填、カチオン塗布などを含む。 |
プライマー塗布 | 下地と防水材をしっかり密着させるための下塗り剤。素材に合わせて選定する必要がある。 |
ウレタン塗膜防水 | 液状のウレタンを塗り重ねて防水層を形成する工法。複雑な形状にも対応でき、工場屋上などに多用される。 |
FRP防水 | 繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic)を使った硬質防水層を形成する工法。耐久性に優れ、機械室や歩行用通路に適している。 |
シート防水 | 塩ビシートやゴムシートなどを敷設して行う防水工法。広い屋上などに多用。工場屋根や倉庫などで採用例が多い。 |
アスファルト防水 | 熱工法やトーチ工法でアスファルトを塗布し、耐久性の高い防水層を作る。重防水として大型施設に用いられる。 |
脱気筒設置 | 防水層下の湿気を排出し、防水層の膨れ・剥離を防ぐ装置。特にウレタンやアスファルト防水で使用される。 |
ドレン改修 | 雨水排水口(ドレン)の防水処理や交換工事。漏水の多くがこの部分から起きるため、重要な工程。 |
立上り防水 | 屋上やバルコニーの端部(立ち上がり部)まで防水材を塗り上げる処理。防水層の切れ目がないようにするための措置。 |
トップコート塗布 | 防水層の最上部に保護塗料を塗布する作業。紫外線や摩耗から防水層を守る。 |
通気緩衝工法 | 防水層下の湿気を逃がす層(通気シート)を設けた工法。下地の湿気が多い工場屋上などで有効。 |
保護モルタル | 防水層の上にセメント系モルタルを塗布して耐久性や歩行性を高める処理。歩行・作業スペースのある屋上でよく使われる。 |
材料搬入費 | 防水材・シート・モルタルなどを現場に搬入する費用。エレベーターやクレーンを使うケースもあり、建物構造により変動。 |
諸経費 | 現場管理・安全管理・交通費・役所提出書類の作成など、直接工事に関わらないが必要な経費。工事費の5〜15%程度が一般的。 |
✅ 見積書で注意すべきポイント(屋根工事)
1. 防水工法と施工範囲が明確か
ウレタン防水、FRP防水、シート防水など種類が具体的に記載されているか。
対象エリア(バルコニー、屋上、庇など)の㎡数があるか。
2. 下地処理や補修工事の内容が記載されているか
ケレン、清掃、モルタル補修、勾配調整などの有無を確認。
下地の状態次第で大きく費用が変動する項目。
3. 防水層の厚みと施工工程が書かれているか
ウレタン防水なら「2層塗り・合計○mm」などの厚みが明記されているか。
プライマー、主材、トップコートの工程記載も重要。
4. 使用材料のメーカー・品名があるか
例:田島ルーフィング、日本特殊塗料など。
材料の信頼性を確認するポイント。
5. 脱気筒・ドレン周りの処理方法が書かれているか
脱気装置や排水口周辺の処理が適切に含まれているか。
漏水リスクの高い箇所なので、軽視しないこと。
6. 立ち上がり部の施工範囲があるか
垂直面(立ち上がり)への防水施工の有無と高さの記載。
30cm以上が一般的。省略されていないか確認。
7. 施工後の保証内容があるか
保証期間(5年~10年程度)が明記されているか。
雨漏り対応の有無など保証範囲も要確認。
8. 諸経費・養生費・仮設費が含まれているか
足場、搬入・搬出、養生、仮設資材の費用明細。
「一式」で省略されていないかチェック。
見積書に登場する専門用語には、工事の品質や費用に直結する大切な意味が込められています。
一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、用語の意味を理解することで、
内容の妥当性を判断しやすくなり、業者とのコミュニケーションもスムーズになります。
外壁・屋根・防水工事は建物の寿命や安全性に大きく関わる重要な工事です。
納得した上で安心して工事を任せられるよう、ぜひ今回の用語解説をお役立てください。